花あかりのドゥーチュイムニィ

一昨日、担当しているＴ氏が他界した。

独居のＴ氏は、身内・親戚との交流がなく、

入院の際にも手続きは僕が行なっていた。



先日、２週間ぶりにＴ氏を訪問した。

お腹の異常な腫れに気がつき・・

Ｔ氏に問うが・・

『別に痛くないし・・大丈夫だよ』と答える。

気になりながらも訪問を済ませ・・

事務所に戻り、Ｔ氏に提供を依頼している事業所に電話をかける。

特に変わったこともないと、お腹の異常にも気がつかなかったと言う。

翌日やはり、気になりＴ氏に電話をかける。

『明日、病院に行きましょう。僕が送迎しますから。』

と、受診を勧め承諾を得た。

翌日、受診。検査の結果、腹水が異常に溜まっている。

精査が必要との事で入院した。

検査の結果、やはり予感が的中。末期の癌。

入院したその日から起き上がることができなくなった。

一昨日朝、病院の主治医から電話が入る。

『昨夜から急変した』

Ｔ氏が連絡を絶っていた姉に電話をかける。

事情を説明し、姉の自宅へ車を走らせた。

姉も高齢。事情が十分飲み込めないまま・・。

同乗してもらい、病院へ向かった。

病室に着くと同時に、急変・・・・・・。


姉は、『臨終の際に立ち会えて良かった』『少し、笑っていた』とつぶやいた。




今朝、４時ふと目が覚めた。

入院中、Ｔ氏の買い物を頼まれた際に、

Ｔ氏の好きな"霧の紅茶"を買ってきてほしい。

と頼まれていたことを思い出した。


午前１１時、Ｔ氏が安置されている葬祭場に車を走らせた。

"霧の紅茶"を霊前に供え、Ｔ氏に別れを告げた。


僕の仕事は、お年寄りが相手・・・。

いつかは、別れる時が来る。

悔いのないように、一期一会の心で接していきたい。